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インプラント周囲炎

インプラント周囲炎の主な症状

インプラントは人工的な歯根のため、天然の歯と比較すると炎症への抵抗力が10倍から20倍も弱くなるといわれています。一度感染すると急速に進行してしまいます。進行すると、インプラントの周りの歯肉が腫れたり、出血したり、場合によってはグラグラと動いたりすることがあります。感染が重度に及ぶ場合は抜去する必要が出てきてしまいます。
インプラントの周囲の炎症は「インプラント周囲粘膜炎」から「インプラント周囲炎」へと進行していきます。

インプラント周囲粘膜炎の症状

インプラント周囲炎の初期段階で、インプラントの周囲の歯肉に炎症が限局して起きている状態です。 歯茎の赤みや腫れがあり、場合によっては歯をみがいた時に出血することがあります。 しかし、初期の場合は痛みなどがないことも多いため、炎症が起きていることに気が付かないこともあります。症状に気づいた場合には既にインプラント周囲炎になっていることも多いので、歯茎からの出血などの異変に気がついたら早めに受診をするようにしましょう。

インプラント周囲炎の症状

インプラント周囲粘膜炎が進行し、炎症が歯肉だけでなくインプラントを支える「歯槽骨」にまで及んでいる状態です。 インプラントの周囲の骨の炎症が進むと、次第に骨が溶けてきてしまいます。歯茎の腫れや出血に加えて、歯茎から膿が出ることや、インプラント自体に痛みや違和感が出ることもあります。 インプラント周囲の溶けてきてしまった歯槽骨は、元には戻りません。そのまま炎症が進み続けると、インプラントを支えられなくなり、インプラントのグラつきや脱落が起こります。

インプラント周囲炎の原因

インプラント周囲炎は、インプラント周囲の組織が歯周病原菌に感染することにより起こります。次のようにリスクにより大きく変わります。リスクをコントロールすることにより、インプラント周囲炎を予防することは可能となります。
インプラント周囲炎の最大の原因は「歯周病菌」です。お口の中で細菌が繁殖し、感染するとによって引き起こされます。
毎日の口腔ケアができていないと、歯周病菌は奥にの中で増殖してしまいます。歯科医院の定期的なメンテナンスを受けていない場合も、落としきれない汚れが溜まってしまうので、注意が必要です。
また、インプラント周囲炎は、お口のケアの問題だけではなく、全身の病気や生活習慣とも深く関わりがあります。次のような要因がある場合には、特に注意が必要です。

喫煙習慣がある場合

タバコに含まれるニコチンは、血管を収縮させる作用があるため、血流が悪くなります。そのため、栄養が行き届かず、免疫力が低下します。
インプラントは、天然の歯と比較すると構造上、歯周病菌への抵抗力が弱いです。細胞の抵抗力を維持するためにも禁煙が必要です。

歯並びが悪い

歯並びが悪いと、歯と歯が重なり、その隙間に歯垢がたまることが多くなり、更にホームケアの難易度が上がります。歯垢を放置すると、歯と歯肉の間に歯周ポケットという空洞ができて、ポケット内に悪玉菌が増殖し、歯周病へと発展します。

コントロールできていない糖尿病がある場合

糖尿病の影響で血糖値が高いと、歯周病菌も同様、細菌に対する抵抗力が弱くなります。
糖尿病の場合、血糖の値コントロール出来ていない場合はインプラント治療自体が行えない場合があリますが、血糖値のコントロールができていれば、インプラント治療を行うことができます。インプラント治療を行うことができた場合には、インプラント埋入後も、糖尿病のコントロールを引き続き注意していく必要があります。

貧血がある場合

血液には、病気を治すための白血球や栄養を運んでくれる役割があります。貧血がある場合は、免疫力が低下して、歯周病菌に感染しやすい状態になります。
貧血がある場合も受診を行いしっかりとした管理が必要です。

歯ぎしりや食いしばりの癖がある場合

歯ぎしりや食いしばりの癖がある場合、歯に必要以上の大きな負荷がかかっています。
インプラントに大きな力がかかると、インプラント周囲の組織がダメージを受け細菌感染を起こしやすい状況になります。また、インプラントだけでなく、その他歯や顎の関節にも負担がかかります。

習慣的な口呼吸がある

口呼吸になると、口の中が乾いて歯垢が溜まりやすくなります。また、唾液による口の中を洗い流す自浄作用が低下するため、細菌が繁殖しやすくなるのです。口呼吸は、鼻詰まりや睡眠時無呼吸症候群と関連しています。

歯周病の症状が安定していない状況でインプラントの治療を受けた場合

インプラント治療をする場合には、細菌による感染のリスクをなるべく少なくするために、基本的にほかの歯の歯周病が完治している必要があります。ほかの歯に歯周病があると、口の中は歯周病菌が繁殖している状態になるため、インプラントも感染しやすくなります。インプラント治療の前に歯周病の治療は不可欠です。

インプラント周囲炎の処置

インプラント周囲炎になってしまった場合の治療法には、歯周ポケット内を洗浄などして回復を促していく「非外科的治療」と、歯茎を切開して手術を行う「外科的治療」の2種類があります。
また、インプラント周囲炎は、歯科医院内で行う治療だけでは改善しません。丁寧なブラッシングなどの生活習慣は、患者さん自身が毎日ご自宅で行わなければなりません。

非外科的処置

まずは外科的手術を行わずに、治癒させていく治療法を行います。歯科医院では次の治療が行われます。

  • 周囲の歯石除去
  • 歯周ポケット内洗浄と薬剤の注入
  • 抗生物質の投与
  • 歯みがきや生活指導

外科的処置

インプラント周囲の骨の吸収が進んでいる場合には、外科的治療を行います。
歯肉を切開して、インプラント体に直接アプローチをする方法で、インプラント表面の清掃や殺菌を行います。骨の吸収が進行している場合は、骨の再生を促す処置を行います。
これらの方法を行ってもインプラント周囲炎が改善されないこともあります。そのような場合は、インプラントを摘出しなくてはなりません。

インプラント周囲炎の予防法

PMTC

歯科衛生士が専用の器具で歯周ポケット内の細菌や歯面に付着した、歯垢や、歯石を取り除くことです。歯みがきでは十分に取り除けない歯垢や細菌で作り出されるバイオフィルムを除去できるため、インプラント周囲炎の改善に繋がります。同時に虫歯のリスクも下げることができます。

生活習慣の見直し

喫煙習慣や食生活など、インプラント周囲炎のリスクを高める習慣を見直すことが重要です。それだけでインプラント周囲炎が改善されるわけではないのですが、再発のリスクを抑えることが可能です。健康な組織を作るためには、生活習慣と食生活の見直しが必要です。当院では管理栄養士を配置し、全身的な健康のサポートも行います。

インプラント周囲炎を予防することが大切

インプラント周囲炎は定期的にメンテナンスを受けることに加え、丁寧なブラッシングや喫煙を控える、噛み合わせを矯正する、口呼吸を防ぐために鼻詰まりの原因を解消するなどによってリスクを抑えることが可能です。できるだけ早く発見できれば、それだけでインプラントが脱落するまでの進行を抑えることが出来ます。