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ジルコニアインプラント

インプラント治療において、通常は純チタンやチタン合金製のインプラント体(人工歯根)が一般的に使用されますが、近年では日本でもジルコニア製のインプラントが増加しています。
一般的に、チタンは生体親和性が高く、金属アレルギーの発生が稀とされていますが、ごくわずかながら金属アレルギーの報告が存在します。インプラントは体内での安定性が求められるため、金属アレルギーの心配がある方にとっては、より安全で安心して使用できると考えられるジルコニアインプラントを選択することがお勧めされます。

金属アレルギーとは

金属アレルギーは20世紀後半から、爆発的に増えております。 金属アレルギーは、Ⅳ型の遅延型過剰反応に分類されており、 体内に入り込んだ金属イオンがタンパク質と結合し、ハプテンとなります。 それに対して感作T細胞が反応してその周囲あるいは離れた部位に組織障害が引き起こされます。 歯の虫歯治療に使用される銀歯や詰め物など、口に金属を入れることが原因で顔や全身にアレルギー症状が現れることがあります。このアレルギー反応は、血液の循環を通じて全身に広がり、口腔内だけでなく口の周り、背中、手や足などの皮膚にも影響を及ぼすことが特徴的です。具体的な症状には口内炎、歯肉炎、舌炎だけでなく、湿疹などの炎症が全身に広がることがあります。個人差がありますが、背中の湿疹が歯科金属アレルギーに関連していることがわかり、金属を取り除くことで症状が改善するケースも報告されています。 また、口に金属を入れてから数年経過してから突然症状が現れることもあるため、注意が必要です。金属アレルギーが原因である場合、適切な治療や金属の除去が完治につながる可能性があります。

金属アレルギーの発症リスクが
高いとされる金属

金属アレルギーを引き起こしやすい代表的な金属には、ニッケル、コバルト、水銀、クロムなどが挙げられます。一方で、金、銀、プラチナなどはアレルギーを引き起こしにくいとされていますが、これらの金属に対してもアレルギー反応が生じる場合があります。 歯科用金属にはさまざまな種類の金属が使用されており、主成分として金、銀、プラチナ、パラジウムの他に、コバルト、ニッケル、水銀、クロム、パラジウムなどが挙げられます。 かつての歯科治療では、アマルガムと呼ばれる水銀の合金も使用されていましたが、最近ではこれを除去して他の材料で修復されるようになっています。 また、一時期保険治療の中にニッケル・クロム合金として使用が適用されたことがありましたが、今では使用されていません。

ジルコニアインプラントが注目されてきた経緯

一般的なインプラント治療では、生体との親和性が高く、骨と良く結合する特性を持つチタン製のインプラント(人工歯根)が一般的に使用されます。チタンは金属イオンが溶け出しにくく、金属アレルギーのリスクが低いことが知られています。ただし、リスクが低いとは言え、ゼロではなく、将来的なアレルギー発症の可能性や、インプラントの埋め込み後に交換が難しいという課題があります。こうした理由から、金属でない素材である「ジルコニア」のインプラントが注目を集めています。 ジルコニアは正式名称を二酸化ジルコニウムといい、人工ダイヤモンドとしても知られる素材です。その高い生体親和性は、チタンと同様に、人工関節や体内に埋め込むボルトとしても利用されています。歯科領域では、人工歯や耐久性が求められる被せ物に使用され、ジルコニアはチタン同様に生体との親和性が高く、骨との結合性があるため、インプラント治療に適している素材とされています。

ジルコニアインプラントについて

特徴とメリット

  • アレルギーフリーの素材
  • 100%ジルコニアのため、金属アレルギーの不安が一切ない
  • 審美性に優れる素材
  • ジルコニアは素材自体が白く審美性がよいため、良い見た目を手に入れることが可能
  • 骨との結合もチタンと変わらない
  • 近年ジルコニアもチタンと同じく骨と結合する性質を持つことがわかっており、各社製品比較テストでもチタンと同様の骨との結合が確認されているため、人体との親和性に優れている
  • チタン(メタル)と違い、マイクロレベルで表面が滑らかなため、人体(歯肉)との親和性も高い
  • 強度が高く、長期安定性に優れている
  • チタンに匹敵する曲げ応力強度「1200メガパスカル」を持っており、長持ちします
  • 体に優しく、安全性が高い
  • 口腔内ガルバ二ー電流(体調不良の原因にもなる微弱電流)が発生しない

デメリット

あごの骨への負担が大きい

ジルコニアは極めて硬い材料であり、これには大きな利点がありますが、一方で硬すぎてあごの骨に負担をかける可能性があります。特に、骨の状態を慎重に見極めた上で治療を行う必要があります。また、硬度が高いため、かみ合う歯を傷つける可能性も考慮しなければなりません。

治療費が高くなる

チタン製のインプラントと比較して材料費が高くなるため、治療費が高くなります。