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2025.10.16

おしゃぶりの使用が長引くことによる口腔の問題とは?

おしゃぶりの使用が長引くことによる口腔の問題とは?

〜やめるタイミングと上手な卒業のコツ〜

赤ちゃんにとって「おしゃぶり」は、心を落ち着かせる大切なアイテムの一つです。眠いときや不安なときにくわえることで安心し、泣き止んだり、気持ちが落ち着いたりするため、多くのご家庭で使われています。
しかし、おしゃぶりの使用期間が長くなると、歯並びや顎の発達などに影響を及ぼすことがあるのをご存じでしょうか?
今回は、おしゃぶりの長期使用によって起こりやすい口腔内の問題と、やめるタイミング、スムーズな卒業のコツについて解説します。

おしゃぶりの役割とメリット

まず、おしゃぶりには決して悪い面ばかりではありません。むしろ乳児期には、いくつかの大きなメリットがあります。

  • 安心感を与える(精神的安定)
    吸啜(きゅうてつ)反射と呼ばれる、生まれつきの吸う動きは赤ちゃんに安心感を与えます。おしゃぶりはその欲求を満たすため、情緒を安定させる効果があります。
  • SIDS(乳幼児突然死症候群)のリスク低下
    いくつかの研究では、就寝時におしゃぶりを使用することでSIDSの発生率が下がる可能性が示唆されています。
  • 指しゃぶりの代替として
    指しゃぶりよりも卒業しやすい傾向があり、衛生的に管理しやすいという利点もあります。

このように、おしゃぶりには赤ちゃんの発達や情緒面でのプラスの側面も多くあります。ただし、使用期間が長引くと口腔の発育に悪影響を及ぼすことがあるため、注意が必要です。

長期使用によって起こる口腔の問題

開咬(かいこう)

おしゃぶりを長期間使用すると、上下の前歯の間にすき間ができる「開咬」になることがあります。
おしゃぶりをくわえることで常に上下の前歯が押し広げられ、かみ合わせが不自然になるのです。
この状態では前歯で食べ物を噛み切りにくくなったり、発音に影響が出たりすることがあります。

出っ歯(上顎前突)

おしゃぶりを強く吸うクセが続くと、上の前歯や上顎の骨が前に押し出され、いわゆる「出っ歯」になりやすくなります。
口を閉じにくくなることで、口呼吸の習慣がついてしまう場合もあります。

顎の発達への影響

おしゃぶりを長く使うことで、舌や唇、頬などの筋肉バランスが崩れ、顎の成長方向にも影響を与えることがあります。
正常な顎の発達には「舌が上顎に軽く触れている状態」が大切ですが、おしゃぶりをくわえると舌が下がり、上顎の発育が妨げられる場合があります。

発音への影響

歯並びの乱れや舌の位置のズレは、発音にも関係します。
「さ行」「た行」「な行」など、舌先を使う音が出しにくくなったり、舌足らずな発音になったりすることがあります。

口呼吸・舌の位置異常

おしゃぶりを長く使用することで口を閉じる力(口輪筋)が弱まり、口呼吸が癖になるケースも見られます。
口呼吸は虫歯や歯肉炎、口臭の原因にもなり、免疫力の低下を招くこともあります。

いつ頃やめるのが理想?

一般的には、1歳半〜2歳頃までにはおしゃぶりを卒業するのが理想とされています。
この時期は乳歯列(子どもの歯)が揃い始め、かみ合わせや発音の発達が進む大切な時期です。

2歳を過ぎても常におしゃぶりを使っていると、歯並びや顎の発育に影響が出やすくなるため、少しずつ使用を減らしていく工夫が必要です。

ただし、寝かしつけや不安時などに短時間使う程度であれば、急にやめる必要はありません。大切なのは「長時間・常時使用を避ける」ことです。

スムーズにおしゃぶりをやめるコツ

おしゃぶりをいきなり取り上げてしまうと、子どもにとっては大きなストレスになってしまいます。以下のような方法で、少しずつ「おしゃぶり卒業」へ導いていきましょう。

  1. 使う時間や場所を限定する
    まずは「寝るときだけ」「外出時は使わない」など、ルールを決めて使用時間を減らしていきましょう。
  2. 気を紛らわせるものを用意する
    お気に入りのぬいぐるみやタオルなど、安心できる代わりのアイテムを持たせるのも効果的です。
  3. 本人に説明して納得させる
    2
    歳を過ぎると理解力が高まるため、「もう赤ちゃんじゃないからバイバイしようね」と話してあげましょう。
    「おしゃぶりバイバイの日」を決めて儀式のように行うのもおすすめです。
  4. 無理に叱らない・急がない
    子どもによっては情緒的な不安が強く、やめるまで時間がかかることもあります。焦らず、少しずつステップを踏むことが大切です。

おしゃぶりの影響が気になるときは歯科で相談を

もし、

  • 前歯の間にすき間がある
  • 口がいつも開いている
  • 発音が不明瞭になってきた
    などの変化が見られる場合は、小児歯科や矯正歯科に相談することをおすすめします。

おしゃぶりによる歯並びの変化は、早い段階でやめれば自然に戻ることも多いですが、放置すると永久歯にも影響を残すことがあります。
歯科医院では、口腔筋機能(舌や唇の使い方)を整えるトレーニングや、噛み合わせのチェックを行い、成長に合わせた適切なアドバイスが受けられます。

まとめ

おしゃぶりは赤ちゃんの心を落ち着かせる大切なアイテムですが、長期間の使用は歯並びや顎の発達、発音などに悪影響を及ぼすことがあります。
1
歳半〜2歳頃を目安に、少しずつ卒業へ向けたサポートをしていくことが大切です。

お子さんの口の成長は、一人ひとり違います。気になることがあれば早めに歯科医院で相談し、健康で美しい歯並びを育てていきましょう。

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