小児予防矯正と成人矯正の違い
どんな場合に予防矯正が効果的?
矯正治療といえば、かつては「歯が生えそろってから行うもの」というイメージが主流でした。しかし、近年では歯や顎が成長段階にある子どものうちから始める「小児予防矯正(早期矯正)」が注目されています。一方で、大人になってから始める「成人矯正」も依然として多くの方に選ばれています。
では、小児予防矯正と成人矯正にはどのような違いがあり、どんな場合に予防矯正がより効果的なのでしょうか?この記事では、その違いとメリットをわかりやすく解説します。
小児予防矯正とは?
小児予防矯正は、主に6〜10歳頃の混合歯列期(乳歯と永久歯が混ざっている時期)に行う矯正治療です。この時期は顎の骨が柔らかく成長が活発なため、歯の位置だけでなく、顎の大きさや形、筋機能に働きかけることができます。
目的は「歯並びの土台を整えること」。悪化する前に原因を取り除くことで、将来的な本格矯正が不要になったり、治療期間が短縮されたりするケースも少なくありません。
成人矯正との違いは?
成人矯正は、骨の成長がすでに止まった後に行う矯正治療です。一般的に歯を動かすだけの治療になるため、歯並びを整えることはできても、顎の成長をコントロールすることはできません。
また、大人の骨は子どもに比べて硬いため、歯の移動に時間がかかりやすく、歯周病などのリスクも考慮する必要があります。一方で、見た目や機能をきれいに仕上げられる点では非常に有効な選択肢です。
小児予防矯正が効果的なケースとは?
以下のようなケースでは、小児予防矯正が特に効果を発揮します。
- 顎の成長にアンバランスがある場合
上下の顎の大きさに差がある、前歯の噛み合わせが深すぎる(過蓋咬合)・開きすぎている(開咬)などの症状は、成長を利用してコントロールすることで大きな改善が期待できます。
- 口呼吸や舌癖、指しゃぶりがある場合
こうした習癖は歯並びを悪化させる原因になります。予防矯正では装置やトレーニング(MFT:口腔筋機能療法)を用いて、口腔周囲筋の機能を整えるアプローチが可能です。
- 永久歯の生えるスペースが不足している場合
顎の幅を拡げることで、将来的な抜歯矯正を避けられる可能性があります。早期にスペースを確保してあげることで、永久歯の自然な萌出を促すことができます。
予防矯正=矯正が不要になるわけではない?
予防矯正を行ったからといって、すべてのケースで本格矯正が不要になるわけではありません。しかし、骨格的な問題や生活習慣による影響を早期に修正することで、矯正の必要性を減らしたり、治療の難易度を軽くしたりすることは十分に可能です。
また、予防矯正を経験しておくことで、お子様自身が「歯を大切にする意識」を持つきっかけにもなります。
まとめ
小児予防矯正と成人矯正には、それぞれ異なる特徴とメリットがあります。特に小児期は、顎や骨の成長を活かした根本的な治療が可能な貴重なタイミングです。お子さまの歯並びやかみ合わせが気になる場合は、「様子を見る」だけでなく、早めに歯科医師に相談することをおすすめします。